REPORT

2020年度スポーツ庁委託事業成果報告

2020年度スポーツ庁委託事業「障害者スポーツ推進プロジェクト」成果報告

その他
2021.06.15

一般社団法人日本障がい者サッカー連盟(以下、JIFF)は、2019年度に続き、2020年度スポーツ庁委託事業「障害者スポーツ推進プロジェクト(障害者スポーツ団体の連携及び体制整備への支援事業報告書)」を受託し、2020年度に本事業を実施しました。

本ページでは、その成果報告書より報告内容を抜粋し、掲載します。成果報告書の概要版PDFおよび全ページPDF(162ページ)をご覧いただく場合は以下のリンクよりご確認ください。

2020年度スポーツ庁委託事業「障害者スポーツ推進プロジェクト」成果報告(抜粋)

※出典元:スポーツ庁

背景

「東京2020大会」後への懸念

東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催年を迎え、スポーツを通じた共生社会の実現に向けて機運醸成、環境整備等がさらに進んでいますが、いずれもパラリンピック競技に関わる活動に限り、地域も首都圏が大半を占めています。また、東京2020大会へ向けて実施されているものが多く、大会後にはパラスポーツ競技団体の約6割が活動縮小を予定する等、継続性、発展性に不安が残ります。

サッカー界での連携の課題

サッカー界では、2014年5月15日に公益財団法人日本サッカー協会(以下、JFA)が「JFAグラスルース宣言」を行い、誰もが、いつでも、どこでもサッカーを身近に楽しめる環境を目指し、障がい者サッカーとの連携が始まりました。そして、2016年4月に7つの障がいサッカー競技団体*1(以下、7競技団体)が社員となる一般社団法人日本障がい者サッカー連盟(以下、JIFF)が設立され、JIFFの活動により首都圏を中心として、Jリーグクラブとの連携は徐々に進んではいるものの、首都圏以外の地域における7競技団体と都道府県サッカー協会やJリーグクラブとの関係構築や、障がい者が安心・安全にサッカーを楽しめる環境になるには未だ多くの課題が存在しています。

=特定非営利活動法人日本アンプティサッカー協会、一般社団法人日本CPサッカー協会、特定非営利活動法人日本ソーシャルフットボール協会、特定非営利活動法人日本知的障がい者サッカー連盟、一般社団法人日本電動車椅子サッカー協会、特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会、一般社団法人日本ろう者サッカー協会

地域連携会議の継続開催

本連盟は、上記の課題に取り組むべく、JFAとともに2019年度から「障害者スポーツ推進プロジェクト(障害者スポーツ団体の連携及び体制整備への支援事業)」として「9地域障がい者サッカー連携会議(以下、地域連携会議)」を全国9地域(北海道、東北、関東、北信越、東海、関西、中国、四国、九州)で実施し、7競技団体の地域担当者、7競技団体に登録する地元の障がい者サッカークラブ代表者、都道府県サッカー協会の障がい者サッカー担当者、Jリーグクラブ、Jリーグ百年構想クラブの関係者等の連携を図ってきました。

2020年度は、コロナ禍のためオンライン開催となりましたが、障がい者スポーツ団体における連携の推進、情報収集及び障がい者スポーツ団体への情報提供を目的に、地域連携会議を継続開催しました。

本事業の目的

本事業は、以下の2つを目的とし「9地域障がい者サッカー連携会議」を実施しました。

(1)障がい者スポーツ団体における連携の推進
コロナ禍のためオンライン開催となりましたが、「9地域障がい者サッカー連携会議」を2019年度に続き継続開催し、一般のスポーツ団体(サッカー団体)と障がい者スポーツ団体(障がい者サッカー団体)間の連携を図りました。
(2)情報収集及び障がい者スポーツ団体への情報提供
各地域における活用状況や展望を事前に関係団体に情報収集し、2019年度抽出した課題とともに地域連携会議内で共有しました。また、都道府県別等のグループに分かれ、その後も定期的にディスカッションが行える仕組みの考案、各地域の課題や普及状況に応じた障がい者サッカーの活動を考案するディスカッションを行ないました。

2020年度実施概要

9地域障がい者サッカー連携会議

■実施期間:2020年9月24日〜2021年1月21日

■時間:各回2時間

■参加総数:440名(延べ人数)

■実施単位・回数:9地域・計10回〈北海道、東北、関東(北)、関東(南)、北信越、東海、関西、中国、四国、九州〉

■内容:
・2019年度の振り返り
・障がい者サッカーに関する変化や動向の共有
・グループディスカッション
  – 定期的にディスカッションが行える仕組みの考案
  – 各地域の課題や普及状況に応じた障がい者サッカーの活動の考案

■開催方法:オンライン(オンライン会議ツール・Zoomを利用)

2020年度の成果

1.障がい者サッカーに携わる方の増加

障がい者サッカー7競技団体の地域担当者、7競技団体に登録する地元の障がい者サッカークラブ代表者、都道府県サッカー協会の障がい者サッカー担当者、Jリーグクラブ、Jリーグ百年構想クラブの関係者等、延べ人数で昨年度より100名増の440名が参加し、各組織の窓口となる担当者同士の関係構築を促すことができました。

特に2019年度と比較して J リーグクラブからの積極的な参加があり、また、障がい者サッカーチームについては2019年度の出席は会議の開催地に所在するチームのみでしたが、オンラインでの実施により2020年度は他県からの出席も可能としたため出席を増やすことができました。

2.地域連携を推進する組織または会議体の増加

JFA では、2015 年から都道府県サッカー協会に障がい者サッカー担当者を設置しました。それを受けて、都道府県サッカー協会では地域における障がい者サッカーの活動を推進する委員会等を設置し障がい者クラブチームとの連携・支援を進める窓口ができました。また、県内の障がい者サッカーチームを含む会議体や障がい者サッカーの統括組織設立の動きができました。
JIFF が目指すのは、以下の 3 つです。これらが設置され発展していくことで、地域における障がい者サッカーの活動と競技環境の整備が進んでいくと考えます。

a.都道府県サッカー協会内に障がい者サッカーを推進する委員会等が設置されること
b.地域に障がい種別を超えた障がい者サッカーの横断的な組織または会議体があること
c.障がい者サッカーの活動をする組織間でスムーズな連携がとれていること

地域連携を推進する組織または会議体の設置を促している中で、10 都県で新しい動きがうまれた。

《新たな動きのあった10都県》
  • 東京都:障がい者サッカーチームを含めた会議体発足の動き
  • 埼玉県:埼玉県サッカー協会主導で障がい者サッカーチームを集めた会議体「埼玉県障がい者サッカーネットワーク」が発足
  • 茨城県:茨城県サッカー協会主導で障がい者サッカーチームを集めたイベントを実施
  • 石川県:石川県サッカー協会主導で障がい者サッカーおよびJリーグクラブを集めた会議を実施
  • 奈良県:奈良クラブ主導で障がい種別を横断したサッカーイベント実施の動き
  • 鳥取県:鳥取県サッカー協会 技術委員会 普及部会内に障がい者サッカー推進ミーティングの設置
  • 山口県:山口県サッカー協会 インクルーシブ委員会の設置/山口県内で障がい者サッカーを統括する連盟設立の動き
  • 島根県:島根県サッカー協会 インクルーシブ委員会の設置
  • 長崎県:長崎県サッカー協会 第1種委員会内障がい者部会の設置
  • 沖縄県:沖縄県内で障がい者サッカーを統括する連盟設立の動き

3.地域特性および課題の類型化

各地域のごとの地域特性および課題の類型化をすることができました。また、課題解決方法として、キーアクターの発掘やリーダー育成等の「人材の育成」による解決と、地域内または組織同士でリソースを提供し合える関係性を構築する「組織の確立・充実」による解決の2つの方向性がみえました。

4.JFAによる都道府県サッカー協会への障がい者サッカー活動支援の充実

地域連携会議を受けて、JFAから都道府県サッカー協会に向けて新たに以下の3点の依頼と活動の方向性が示されました。

(1)地域内の障がい者サッカーに関連する団体の取りまとめ
(2)障がい者サッカー情報の発信
(3)障がい者へのサッカー環境の提供、地域連携会議内のアイディアの共有

まとめ

2020年度は、一般のスポーツ団体(サッカー団体)と障がい者スポーツ団体(障がい者サッカー団体)間の連携が進んだ地域が多くみられた一方で、地域差に対する解決のアプローチまでは至らず、また、連携や活動の推進が不十分であったり、一部の関係者および関係団体のみで活動が行われ、地域全体を巻き込んだ活動ができていない地域があるなど課題も残りました。

今後は、成果として得た「類型化した地域特性および課題」を深掘りする。更なる連携と発展に不可欠であるそれらの解決に向けて、キーアクターの発掘やリーダー育成等の「人材の育成」と、地域内または組織同士でリソースを提供し合える関係性を構築する「組織の確立・充実」の2つの方向性からアプローチを図ることで、身近な場所でサッカーおよびスポーツを実施できる環境の整備と連携および体制整備に向けた事業を展開していきます。

 

以上、スポーツ庁成果報告書より抜粋

 

成果報告書PDFダウンロード

スポーツ庁公式サイトに掲載されている「障害者スポーツ推進プロジェクト」成果報告書の概要版PDFおよび全文PDF(全162ページ)は、以下より閲覧できます。

スポーツ庁「障害者スポーツ推進プロジェクト」ページ

スポーツ庁公式サイトの令和2年度「障害者スポーツ推進プロジェクト」一覧ページです。

以上