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銀メダルを手に笑顔の日本代表

[マッチレポート]日本はアルゼンチンに0-2で敗れ準優勝、大会初のメダル獲得(2021/06/05):Santen IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2021 in 品川

日本代表
2021.06.05

5月30日(日)に開幕した「Santen IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2021 in 品川」は、6月5日(土)に3位決定戦と決勝戦が行われました。初の決勝進出となった日本は世界ランク1位のアルゼンチンと対戦し、0-2で敗れ準優勝となりました。アルゼンチンは大会3連覇、日本は大会初のメダル獲得です。

 

前半早々からアルゼンチンはエースのマキシミリアーノ選手を中心に攻め込み、鋭いシュートを放ってきます。一方、日本もしっかり相手にプレスをかけてボールを奪い、チャンスをつくります。序盤は激しく攻守が入れ替わる展開となりました。後半9分、マキシミリアーノ選手に左サイドからゴール前に持ち込まれ得点を許します。その後しばらくは日本の攻撃の時間が続き、黒田智成選手の強烈な右足シュートも飛び出しますが、なかなかゴールを奪えません。すると後半15分に再びマキシミリアーノ選手に左サイドからの素早いカットインでディフェンスを剥がされ、低く鋭いシュートを決められてしまいます。その後はまた激しい攻防となりました。立て続けにゴールに迫るアルゼンチンに対し、日本は組織的な守備と佐々木ロベルト泉選手らの体を張ったプレー、GK佐藤大介選手の好セーブで凌ぎ、0-2で前半を終えます。

後半に入ると日本もさらにチャンスをつくり、川村怜選手もドリブルからシュートを狙っていきますが、得点には繋がりません。日本のGKからの攻撃にもアルゼンチンディフェンスが対応し、逆にマキシミリアーノ選手の鋭いシュートが襲いかかります。終盤に入るとアルゼンチンが自陣で時間を使う場面も出てくる中、日本はボールを奪い攻め寄りますが、相手も守備を固めます。最後まで攻め続けた日本ですが得点は生まれず、そのまま試合終了。アルゼンチンの大会3連覇と日本の準優勝が決定しました。試合後は、両チームの選手たちが健闘を称え合う光景が見られました。

 

決勝戦で敗れたものの、前回2019年大会の4位から2つ順位を上げ、初のメダル獲得となった日本。監督と選手は試合後にパラリンピックに向けた意気込みも語ってくれました。課題と自信を胸に前へ進むブラインドサッカー男子日本代表に、引き続きエールを送りましょう。

写真提供:日本ブラインドサッカー協会/鰐部春雄

試合後コメント

日本代表・高田敏志 監督

パラリンピックにつながるような、どのような仕掛けをすればよいのかを試さなければならなかった。結果的にベースとなる守備のコンパクトさのところが、失点シーンの2回だけだったと思うが、綻びがあったところを突かれた。さすが世界ランク1位。アルゼンチンチームは攻撃の哲学を持っているので、そこを貫かれて今回はやられてしまった。守備のところでは隙を与えるとやられてしまうとはっきりわかった。攻撃に関しては相手の出方をみながらどう攻めるか考えて臨み、前回(総当たり戦での対戦)よりはゴール前に入る機会が増えたが、決定力がなかった。もう少し工夫して前半のうちに1点を取っていれば流れが変わったと思うが、さすがにそこまで自由にさせてもらえなかった。悔しいというか、惜しい、もったいないというゲームだった。

狙っているところは間違っていないとわかった。パラリンピックでもアルゼンチンと対戦する可能性はあるので、その時にどう改善できるか。昔のアルゼンチンとの対戦では、ただ耐えているだけでボールが前に出ないという試合がつづいたが、今回はいろいろな仕掛けができた。ポジティブな要素はたくさんあったので、パラリンピックにつなげたい。

日本代表 キャプテン FP10・川村 怜 選手

自力で決勝進出を決めた時は、決勝を経験できるという、いい意味での緊張感と達成感があった。それも含めてチームで冷静に話し合って試合に挑んだ。

事前にコーチ陣の分析を得た上で、守備の面ではかなり分析通り、ピッチでもコミュニケーションをとりながらポジションをとっていい守備ができたと思う。今日はバランスが崩れた一瞬の隙を突かれて2失点してしまったが、相手の強度も含めて、ある程度想定の中で試合ができたのではないかと思う。リードされている中でも1点でも取りにいこうとプレスをかけると、相手も嫌がっている雰囲気はあった。どんどんゴール前に侵入して最後打ち切れるところまで精度を上げていくことがこれからの課題になる。

フィジカル面で体を張って戦うという部分は、以前と比べてどの国が相手でもタフな闘いができたのではないかと思う。どのポジションに配置されても、チームの戦術を実行していくことができたが、さらにその精度を上げていかないと世界のトップには勝てないと実感した。課題も得たので残り3ヶ月、しっかりと向き合って高めていきたい。

日本代表 FP7・田中 章仁 選手〈特別賞を受賞〉

今大会自体がパラリンピックの前哨戦ということもあったので、結果に一喜一憂しても仕方がないと思っていたが、やっぱり決勝まで来て負けるのは悔しいの一言。

ここ数年でアルゼンチンとは何回か対戦しているので想定の範囲だったが、それでも突破してくるのが本当の世界レベルのプレー。そこを止めきれなかったことが今日の敗戦につながったと思う。1対1で難しいところを組織的に守るという部分は基本的に機能していたが、失点の場面ではちょっとしたミスが出てしまい残念だった。

チームとしてはいろいろと課題があると思う。パラリンピックまであと2ヶ月半ぐらいだが、少しでも世界のトップレベルに近づいて実力を発揮し、ちょっとした運も味方につけて大会を迎えられればと思う。

日本代表 FP3・佐々木ロベルト泉 選手〈大会MIPを受賞〉

自分はどの試合でも100%でいく。悔しい気持ちはあるけれど、コロナ禍で試合も交流もなかなかできない中、今回みんなと一緒にできたことは楽しかった。

課題としては、ゴール前でのシュート時にもう少し落ち着いていいシュートを打てるようにしたい。どんな状態でもシュートまで持っていかないといけないし、もう少しオフェンスを鍛えないといけない。

アルゼンチンは世界ランク1位で、マキシミリアーノ選手はどのチームが相手でも点を取る選手。でも相手がどんなに強くても、スペースを与えなければ止めることはできたと思う。マキシミリアーノ選手はドリブルだけではなくパワーもある。日本チームは身体の入れ方ももっと強くやらないといけない。

 

試合結果

◯アルゼンチン 2-0(前半2-0)日本●

■得点:
【アルゼンチン】15 マキシミリアーノ・アントニオ・エスピニージョ(前半9分、15分)
■スターティングメンバー:
【アルゼンチン】
GK12 ヘルマン・フランシスコ・ムレック
FP2 アンヘル・リカルド・デルド・ガルシア
FP3 フェデリコ・ミゲル・アッカルディ
FP4 フロイラン・ドゥルヴァル・パディージャ
FP15 マキシミリアーノ・アントニオ・エスピニージョ
監督 リカルド・マルティン・デモンテ
ガイド ヘルマン・アルベルト・マルケス
【日本】
GK1 佐藤 大介
FP3 佐々木 ロベルト泉
FP10 川村 怜
FP7 田中 章仁
FP11 黒田 智成
監督 高田 敏志
ガイド 中川 英治

 


「Santen IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2021 in 品川」全体の結果は以下のページよりご覧ください。全試合の結果、得点者、スターティングメンバー、写真を掲載しております。