[マッチレポート]日本は世界ランク1位のアルゼンチンに引き分け、初の決勝進出を決める(2021/06/03):Santen IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2021 in 品川
5月30日(日)に開幕した「Santen IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2021 in 品川」は、6月3日(木)に4日目が行われました。引き分け以上で決勝進出が決まる日本は世界ランク1位のアルゼンチンと対戦し、スコアレスドロー。総当たり戦の2位以上を確定し、初の決勝進出を決めました。試合後には、アルゼンチンの選手たちからも日本へ拍手が送られていました。
前半早々から日本はチャンスをつくりますが、相手の徹底した守備に阻まれます。アルゼンチンは正確なパスで日本を揺さ振りながらエースのマキシミリアーノ選手を中心に仕掛け、鋭いミドルシュートを放つ場面もありました。前半は両者譲らず、スコアレスのまま折り返します。
後半もアルゼンチンの猛攻は止まらず、日本はディフェンスの要・田中章仁選手を中心に全員で必死の守りを見せ、逆にカウンターを狙います。しかし相手も自陣への戻りがはやく、なかなか崩しきれない展開が続きます。後半終了間際になると、日本は決勝進出に向けフェンス際で時間を使います。日本は最後までアルゼンチンを抑え、0-0のまま試合を終えました。同時に初めての決勝進出を決め、日本チームからは笑顔が見られました。
6月4日(金)は日本戦はありませんが、総当たりの最終2試合が行われ、決勝戦および3位決定戦の出場チームが確定します。日本は6月5日(土)13時から、初の決勝戦に挑みます。
本大会は5カ国で総当たり戦を行い、1位から5位までの順位が決まった後、総当たり戦の1位と2位で決勝戦、3位と4位で3位決定戦を行い、最終順位を決定します。無観客での開催ですが、日本ブラインドサッカー協会により全試合がYouTubeライブで配信されています(配信URL:https://bit.ly/3ouOnlo)。
試合後コメント
日本代表・高田敏志 監督
アルゼンチンは圧倒的に技術レベルが高い。今大会の試合を分析して、アルゼンチンは今までよりもプレーモデルがかなり変わったと思う。これまではドリブルで来るところを、とにかくパスでボールを動かし、我々のディフェンスがズレたところに入ってくることを狙っていた。マキシミリアーノ選手がとにかくすごい。しかし、相手がゴールを決めるのに必要な時間とスペースを奪うことは、どの国よりも日本ができるという前提でゲームに入った。全体的に見ると守備中心のゲームだが、何度かチャンスがあり、ある程度想定していたゲーム展開になった。
アルゼンチンのここ数年間の失点をすべて調べていたので、攻める回数が増えればチャンスはあると思う。日本が過去3戦で使ってきたGKを含めてのビルドアップ、サイドからの展開は、アルゼンチンにすべて分析されていた。前半に3回つづけてカットされた時点で攻撃のプランを変えた。ただ、ボールに近いところに人数が少なかったので、ボールを取られるとすぐに押し戻されてしまう点は改善しようと思う。
日本は今回も選手交代をしなかったが、パラリンピックでもメダルがかかった場面ではベストメンバーで戦い続けるしかない。その覚悟で選手たちに伝えていた。心拍数等もチェックしていたが、これ以上プレーしたら危ないという選手は誰もいなかった。とにかく負けない、自力で勝点1をとって決勝へ行こうとしていた。100点ではないが、決勝に向けて合格点だと思う。
日本代表FP7・田中章仁 選手
相手がループパスで出してくることは事前情報でわかっていたので、何度か練習してきたことと、ボールがバウンドしてから音を聞くというところで対応できたと思う。(体格差については)どうしてもパワーとパワーでぶつかると負けてしまうので、相手のパワーをうまく受け流しながら自分の体を入れていくというところが、フィジカルコーチの指導の中で、自分の中にうまく取り込めてきたと思う。
相手はすべての選手がそれぞれに違う、すごいスキルを持っている。マキシミリアーノ選手はボールを持ってからもルーズボールへの寄せも速いので、ブロックをしっかりつくって対応することを意識して、声をかけ合いながら対応した。他の選手も基本的には1対1で勝負していくと抜かれることが多いので、はやめにブロックをつくるところ、パスに備えるところ、ドリブルに対応するところで、声をかけ合いながらうまく守備のバランスがとれたと思う。ディフェンス面では0点に守り切れたことで自信を持てたが、攻撃になかなか繋げられなかったことで課題が残った。決勝では、少ないチャンスを生かして勝てるように頑張りたい。
試合結果
△日本 0-0(前半0-0)アルゼンチン△
■得点:
【アルゼンチン】-
■スターティングメンバー:
GK1 佐藤 大介
FP3 佐々木 ロベルト泉
FP10 川村 怜
FP7 田中 章仁
FP11 黒田 智成
監督 高田 敏志
ガイド 中川 英治
【アルゼンチン】
GK12 ヘルマン・フランシスコ・ムレック
FP2 アンヘル・リカルド・デルド・ガルシア
FP3 フェデリコ・ミゲル・アッカルディ
FP4 フロイラン・ドゥルヴァル・パディージャ
FP15 マキシミリアーノ・アントニオ・エスピニージョ
監督 リカルド・マルティン・デモンテ
ガイド ヘルマン・アルベルト・マルケス
「Santen IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2021 in 品川」全体の結果は以下のページよりご覧ください。全試合の結果、得点者、スターティングメンバーを掲載しております。